★其の四 サワラ(鰆)



★旬

産卵後の夏場を除き、ほぼ年中うまいが、

関西では春鰆、関東では寒鰆が旬といわれる。

俳句では「春」の季語となっている。

★語源

春に海外から瀬戸内海に入り込み、

春漁の魚である事から「鰆」と書いて「サワラ」と呼んでいるが、

「サ」は狭い、「ハラ」は腹を意味する。

腹が狭く、スマートな体形というのが語源。

★サバ科サバ属サワラ

・大きいものをサワラ、小さいものをサゴシ(狭腰)と呼んでいる。

 40cm以下の幼魚をヤナギ(柳)と呼び分ける地方もある。

・全体のスタイルは女性的とも言えるが、

 頭部は男性的(?)な顔つきをし、

 口には三角形にとがった鋭い歯が並び、

 船上に釣り上げた時、ケイレンさせる様に

 大暴れする為、釣り針をはずす時には要注意である。

 ただし息絶えは早い。

・北海道南部からオーストラリアにかけて

 広く分布している。

・青魚は一般的に赤身であるが、

 サワラは白身なのが特徴。

 とくに尾に近い部分が美味とされる。

・水分が70%とやや多く(サバは65%)

 肉質はやわらかく身割れしやすい。

★産卵

5〜6月に直径1.5mm〜2mmの卵(サバ科の中でも特に大きい)

を産卵する(約85万粒)卵は波間を漂いながら

一昼夜ほどかけて孵化する。

プランクトンを食べて秋頃には40cmぐらいに成長し、

海外へ旅立つ。

一方産卵を終え、やせ細った親も

小魚類を食べあさり、海外へでてゆく。

★漁方

鰆網(瀬曳網)、曳縄釣等

・鰆網・・・サワラの魚群を数隻の船で追いかけ、

 疲れた頃を見計らって一隻が魚群の先頭に出て

 石を投げこむ。

 びっくりしたサワラの群れが反転して逃げるところを

 他の船が旋網で漁獲する。

・曳縄釣り・・・縄の先に針をつけイワシを餌みする。

 このとき餅のイワシがあたかも生きているかのように、

 船を操縦してサワラをおびき寄せ、釣る。

 俳句にも「潮境右し左し鰆舟」と詠まれている。

鰆の漁獲量も年々減少傾向にあり7〜8千トン、

輸入は2万トン以上である。

★刺身の王様
 
魚肉エキス分中の窒素量は、

筋肉100gに対して450r含んでおり、

この量はタイやヒラメに匹敵するくらい多い。

アミノ酸の中のヒスチジンは、サバと同じくらい含む。

タウリンはタイよりも多く、イノシン酸、カルノシン、

カルチニンなど“コクの素”になる物質も多い。

特に寒鰆は脂肪が14〜16%に達し、

インドマグロのようにトロリとした

食感を味わうことができる。

「鰆の刺身は皿までなめろ」という俗諺もあるが、

通常サワラの刺身は漁師か、その近くの人々に限られる場合が

多いようだ。

・関東・・・寒鰆を好み、塩焼と西京漬けが中心

・関西・・・春鰆を好み、刺身、照り焼、塩焼、西京漬け、

     かぶら蒸し、押寿司など食べ方も多い。

★豆年貢

愛媛県新居浜地方では、嫁が元気でまめに働いた謝礼に、

夫婦同伴でサワラを持って妻の実家の両親に贈る。

実家の両親はそのサワラを料理して、

娘夫婦をもてなす「まめ年貢」という風習である。

「豆年貢茅屋に鰆来ぬ」

「新嫁の里へ持たせる鰆かな」