★其の参 いかなご(玉筋魚)



★いかなご(玉筋魚)

晩秋から冬にかけて生まれた稚魚(3〜4ヶ月)を

新子(しんこ)と呼び、瀬戸内海では、2月末〜5月頃までの

日本各地の浅海に分布し、海底が砂や砂礫の

水域にすむ。

北海道・東京・東海などでは「コウナゴ」、九州・中国地方では

「カナギ」または「アブラウオ」などの地方名もある。

語源 和漢三才図会(江戸時代1712年)には

「背が青く、形がカマスに似ている。玉筋魚と書いて

俗に“以加奈古”(イカナゴ)あるいは“加末須古”(カマスゴ)

と呼んでいる」と説明されている。

★鮮度一番

獲れたての新子(幼魚)は魚体に透明感があるが

時間がたつにつれて、白く濁り、赤っぽくなってくる。

鮮度が落ちると値段が大中に落ちる為、

とにかくスピードが勝負。

日の出前の出港から2〜3時間後には店頭に並ぶ。

この秘密は、3艘1組でチームを組み、

2艘の「こぎ船」が網を曳き、

「て船」は出来るだけ早く網を揚げて、

新しい網と取り替えて獲れたイカナゴを直ちに船倉に入れ

氷と海水でよく掻きまぜ魚体を締めながら

港に運ぶ役目をするという、抜群の

チームワークならではにある。

★漁獲高

全国の総漁獲高は約10万トンで、

兵庫2〜3万トンのダントツ日本一。

香川7千トン、大阪2千トン、岡山千百トン。

★「くぎ煮」のルーツ

戦後まもない昭和24年頃、

兵庫県立水産試験場(明石市)で佃煮を作っていた。

砂糖としょう油だけの従来の製法に

水飴を加え、甘味のある独特の味を開発し、

その色つやから「紅梅煮」と呼んでいた。

それを近所の奥さん達が買いに来た。

しかし役所では、たとえ少しでも分けるとなると、

受益者の住所氏名を明らかにして、

受領の認め印が必要になる。

それならと現場の職員達は講習会を思いつき、

調理法を伝授して各家庭で作ってもらえば文句もでない

とのことで、さっそく始めた。

指導しつつ「手順を間違えると、折れ曲がって

“くぎ煮”になりますよ」と注意を与えた。

「くぎ煮」という名の始まりである。

やがて「くぎ煮」は家庭の味として広まり、

早春には明石・神戸から全国へと発送される。

なくてはならない風物詩となっている。

★生態

瀬戸内海では12月〜1月頃(北海道では3〜5月頃)

深さ10〜30mの海底に

砂場のあるところで産卵する。

1回の産卵で2000〜3000個の

卵を産む。

10〜25日でふ化し、4mmの稚魚が生まれる。

体長3cmまでは細くて透明なシラス型で、

浮遊生活を送り、7〜8cmになると、

内湾や沿岸の砂底で底生生活に入る。

成魚も稚魚も浮遊性の甲殻類が

主な餌となっている。

塩分濃度や水温などの違う2つの海水が

接する潮目に群れを作って集まり、

活発に餌をあさる。

寿命は瀬戸内海では2〜3年(北海道では6年以上)。

大きさは、瀬戸内海で14cm程度(北海道では25cm程度)。

明石の近辺では一年魚を新子、

二年魚を古背(フルセ)と呼び、

区別している。

京都地方では古背を「カマスゴ」と呼んでいる。

水温が15〜18℃以上になると、

砂の中に潜って(3〜10cm)夏眠する。

水温の下がる秋に起き出して

活動を再開する。

夏眠中は成長しない。